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農家はもっと減っていい 淘汰の時代の小さくて強い農業

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久松農園代表で、農業界指折りの論客である久松達央氏が、日本の農業の問題点をエビデンスに基づき、ロジカルに、実体験もふんだんに盛り込み、忖度なしで解説。プロフィールはこちら:㈱久松… もっと読む
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#農家

【めぐるめくトーク Vol.3】農と土から考える日本の未来『農家はもっと減っていい』刊行1周年記念イベント

【めぐるめくトーク Vol.3】農と土から考える日本の未来『農家はもっと減っていい』刊行1周年記念イベント

農と食が巡り続ける優しい世界をビジョンに、地域のタベモノヅクリ(※)の持続可能なチャレンジの循環を目指して活動している、めぐるめくプロジェクトが贈るトークイベント「めぐるめくトーク」。

今回は、久松達央さんの著書『農家はもっと減っていい』(光文社新書)の刊行1周年を記念して、『土 地球最後のナゾ~100億人を養う土壌を求めて~』を出版している藤井一至さんとのトークセッションを開催しました。第一部

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淘汰時代の農業サバイバル【Vol.5・最終回 まっつん農園】好き嫌いで決める=正解のない苦しみとつきあう

淘汰時代の農業サバイバル【Vol.5・最終回 まっつん農園】好き嫌いで決める=正解のない苦しみとつきあう

『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ(光文社新書)』の著者である(株)久松農園代表の久松達央による個別無料コンサルティング。最終回の第5弾は、茨城県かすみがうら市でナス、インゲン、ネギ、ブロッコリーの露地栽培を行うまっつん農園の松本浩司さんです。久松さんが畑を訪問し、「これからも好きなことに邁進していいのか」という松本さんの葛藤に寄り添いました。

6刷!

コンサルレポート第1弾

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淘汰時代の農業サバイバル【Vol.4 イナゾーファーム】売上1億円を目指すべきか

淘汰時代の農業サバイバル【Vol.4 イナゾーファーム】売上1億円を目指すべきか

『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ(光文社新書)』の著者である(株)久松農園代表の久松達央さんによる個別無料コンサルティング。第4弾は、北海道士別市で有機JASを取得した施設園芸トマト、アスパラガスの生産・販売、カボチャ等の生産・販売、トマトの自社加工を行う株式会社イナゾーファームの谷寿彰さんと江美さんが、売上目標と今後の方針について相談しました。

6刷!

コンサルレポート第

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淘汰時代の農業サバイバル【Vol.3 十勝清水コスモスファーム】難しくておもしろい「鮮やかな撤退」と「心地よい縮小」

淘汰時代の農業サバイバル【Vol.3 十勝清水コスモスファーム】難しくておもしろい「鮮やかな撤退」と「心地よい縮小」

『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ(光文社新書)』の著者である(株)久松農園代表の久松達央さんによる個別無料コンサルティング。第3弾は、北海道十勝地区で肉用牛の一貫生産をしている十勝清水コスモスファームの安藤智孝さんが、公私にわたる今後の方向性について相談しました。

6刷決定!

コンサルレポート第1弾はこちら。

コンサルレポート第2弾はこちら。

今回の相談内容農業を始めて

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淘汰時代の農業サバイバル【Vol.2 京農園よしだ】惚れた過疎地で暮らし続けるために「みじめな範囲」を逸脱しない

淘汰時代の農業サバイバル【Vol.2 京農園よしだ】惚れた過疎地で暮らし続けるために「みじめな範囲」を逸脱しない

『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ(光文社新書)』の著者である(株)久松農園代表の久松達央さんによる個別無料コンサルティング。第2弾は、京都市右京区京北地域で、環境負荷の少ない方法で旬のさまざまな野菜を栽培する京農園よしだの吉田修也さんと祥子さんが、縮みゆく中山間地域で暮らし続けることについて相談しました。

コンサルレポート第1弾はこちら。

今回の相談内容夫婦二人でできる範囲

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淘汰時代の農業サバイバル【Vol.1 かわばた園】中山間地での小さくて強い戦略の立て方

淘汰時代の農業サバイバル【Vol.1 かわばた園】中山間地での小さくて強い戦略の立て方

『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ』(光文社新書)の著者である(株)久松農園代表の久松達央さんによる個別無料コンサルティング企画「実例に学ぶ!淘汰時代の農業サバイバル」

第1回は、静岡県清水区で茶を中心に栽培・製茶・販売を行っているかわばた園代表の佐藤寛之さんが、雇用や品目を含めた経営の方向性と、中長期的なマーケティングと販売管理について久松さんに相談しました。

相談内容・雇

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久松達央著『農家はもっと減っていい』より「はじめに」と目次を公開します。

久松達央著『農家はもっと減っていい』より「はじめに」と目次を公開します。

はじめに

「GDPのわずか2%に過ぎない農業が、工業製品の輸出を妨げている。農産物の関税など撤廃して、農業がだめになったら食料は輸入すればいい」

こんな意見を今の若い人が聞いたらびっくりするかもしれません。自動車や半導体で日本の貿易黒字が拡大し、日本の農産物市場が強い開放圧力を受けていた1980年代には、メディアにもこのような意見が盛んに登場していました。

農民や業界団体は、輸入自由化反対の

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8/18発売の久松達央 『農家はもっと減っていい』の目次を公開します。

まもなく発売の久松達央 『農家はもっと減っていい  農業の「常識」はウソだらけ』(光文社新書)の目次を先行公開します。


それぞれの章は独立していますので、どこから読んで頂いても大丈夫です。どなたにも刺さる部分が必ずあるはずです。読みたい、と思った方はぜひご予約をよろしくお願いします。

小さい農家は「差別化」してはいけない

小さい農家は「差別化」してはいけない

【連載】農家はもっと減っていい:大淘汰時代の小さくて強い農業⑨㈱久松農園代表 久松達央

新刊のご予約はこちらから!

久松農園では、多くの人に売れそうなもの、をつくるのではなく、まず自分たちが食べたい野菜をつくり、それをお客さんにおすそ分けする、という順番でつくるものを選びます。

大根を例に取ると、最近では紫や緑色などの品種もポピュラーになり、マルシェなどではカラフルな大根を目にする機会も増え

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「大規模農家」は一般社会では零細企業

「大規模農家」は一般社会では零細企業

【連載】農家はもっと減っていい:大淘汰時代の小さくて強い農業⑧㈱久松農園代表 久松達央

判官びいきの風潮が強い日本では、小さくて弱い存在に同情が集まりがちです。大型機械を乗りこなす大規模農家や、LEDの下でロボットがレタスの苗を植える植物工場は、「清く貧しい農家」好きの面々のお気には召さないようです。農業は株式会社に向かない、とか、横暴な大規模農業が家族農業を蹂躙する、とかいうことを堂々と主張す

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「送料無料」でホントにいいの?

「送料無料」でホントにいいの?

【連載】農家はもっと減っていい:大淘汰時代の小さくて強い農業⑥㈱久松農園代表 久松達央

大きなトレンドには目を塞ぎ、「緊急対策」で目先の不満をガス抜きするのは農政の変わらぬ十八番です。コロナ禍の下でも「販売促進緊急対策事業」と称して、一部の農産品、水産品のEC販売の送料を無料にするというキャンペーンが行われています。

「農家や漁師を助けて下さい!」というフレーズは、とにかく一部の都市住民の心を

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農家は「清く貧しい弱者」なのか?

農家は「清く貧しい弱者」なのか?

【連載】農家はもっと減っていい:淘汰の時代の小さくて強い農業⑤㈱久松農園代表 久松達央

農業は清貧で善なるもの、という都市住民のイメージは大変根強いものです。農業を主な仕事とする基幹的農業従事者は2020年時点で136万人。人口比でいうと1%ちょっとしかいませんので、大都市圏に住んでいる人はそもそも農業者と直接の接点がないのでしょう。

日本と米国の間に深刻な貿易摩擦があった1980年代から90

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【連載 農家はもっと減っていい 番外編】②働きながらしか書けない

【連載 農家はもっと減っていい 番外編】②働きながらしか書けない

㈱久松農園代表 久松達央

私が1冊目の『キレイゴトぬきの農業論』を書いた直接のきっかけは、親しい友人の勧めです。本を書くということが何を意味するかも分からなければ、世に名を馳せて何事かを成し遂げようという「男子の本懐」も持ち合わせていない私に、友人は執筆を奨励し、編集者を紹介するまでしてくれました。そんな後押しを受けて、ようやく出版にこぎつけた怠惰な人間です。

私は、自分のものの見方を知ってく

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公共財にタダ乗りしておいて「自給自足」はないだろう? 

公共財にタダ乗りしておいて「自給自足」はないだろう? 

【連載】農家はもっと減っていい:淘汰の時代の小さくて強い農業②㈱久松農園代表 久松達央

生産性や合理性ばかりを重視する資本主義社会に限界を感じ、地方での自給自足の暮らしの中で、ポスト資本主義の未来を探りたい。そんな考えで農業に関心を持つ人が、よく農園を訪ねてきます。田舎暮らし、農業という都会人にはヨダレの出そうなステーキに、反グローバリズム、脱成長、テクノロジーなど、時代の甘美なトッピングをまぶ

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