光文社新書
記事一覧
触れることの科学|馬場紀衣の読書の森 vol.47
触れることで気持ちのすべてを伝えられるなんて信じていないけれど、人に触れることで、不確かだった気持ちを言葉よりずっと的確に伝えることができるとは信じている。そういう確信めいた予感がある。誰かとの触れあいが、言葉を簡単に超えてしまうという経験を、きっとしたことがあるからだ。
感情伝達における対人接触の役割を調べた実験によると、内向きの感情(困惑、嫉妬)よりも外向きの感情(愛情、感謝)のほうが解読
能力はどこまで「遺伝」の影響を受けるのか?|高橋昌一郎【第22回】
行動遺伝学が提起する「生き方」1つの卵子と1つの精子が受精して1つの受精卵が生じる。この受精卵が細胞分裂を繰り返して子宮の中で1人のヒトになっていくわけだが、この細胞分裂の段階で、約0.3~0.4%の確率で受精卵が2つに分裂して2人のヒトとなる場合がある。この2人が「1卵性双生児」である。1卵性双生児は、同一の受精卵から生まれてくるため、同じ遺伝子情報を持ち、稀な例外を除き、性別も血液型も同じにな
もっとみる指導する側も知っておきたい!「研究の心得」とは――よい探究活動には支援が必要:『「探究学習」入門』|中田亨
◆よい探究活動をするには支援が必要
私が大学院生だった時、学科の教官たちが持ち回り形式で担当をする講義がありました。その中に、人工心臓研究の権威である井街宏(いまち・こう)
教授の当番回も含まれていました。
先生は、人工心臓の話もされたのですが、「人工心臓の研究に関わりのない学生さんが大半だろうから」とおっしゃって、受講者全員に役立つ話題として、研究の心得を講義されました。そのいくつかをここに掲
チョコザップ沼|辛酸なめ子
気になってきた大人のたしなみ 大谷翔平選手と真美子さんが知り合ったのは、ジム的な練習施設だった、と報じられていました。ジムには意識が高い人が集まるのでしょう。そんな出会いを期待しているわけではないですが、常日頃運動不足を実感しているので、何かしなければという思いでいました。地下鉄の階段を上がるだけでかなりの疲労感が。また、家でじっとしているとネガティブなことを連鎖的に考えて不安が大きくなっていくの
もっとみる新刊の内容を3分で! 光文社新書2024年4月刊
①前野 ウルド 浩太郎『バッタを倒すぜ アフリカで』13年にわたるフィールドワークと実験の成果は、バッタの大発生を防ぐ可能性を秘めていた! 夢を追いかけ世界を飛び回り七転八倒。笑って泣けて異国飯も堪能できる、現実が舞台の異世界転生物語、開幕! 堂々608頁!
②喜瀬雅則『中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由』2年連続最下位でも誰も困らない独特な風土のとは? 星野仙一、高木守道、落合博満、
味わいの現象学|馬場紀衣の読書の森 vol.46
「味」という言葉には、少なくとも二つの意味がある。英語でいうところのtaste とflavorがそれだ。辞典によればtasteには食べものを「味わう」ほかにも、「味覚」や「味」という意味がある。そしてflavorには「味わい」とか「風味」という訳語が当てられている。とはいえ、この二つの単語をきっちりと使いわけている人はそれほど多くないように思う。それどころか味をめぐる言葉の使い分けはとても複雑で、
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